事業報告

パワーアップジャパン いわて大運動会 in 安比

プロジェクト
パワーアップ・ジャパンfrom Tokyo 平成27年度
イベント名称
パワーアップジャパン いわて大運動会 in 安比
開催日
2016年1月30日(土)、1月31日(日)

岩手県安比高原スキー場にて「いわて大運動会 IN 安比」が開催されました。天候にも恵まれ、暖かな日差しのもと、会場には陸前高田市の親子42名が集まりました。岩手大学の浅沼道成氏の進行のもと、主催の東京都オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ推進部事業推進課長の内藤典子氏、一般社団法人日本アスリート会議の理事及び本イベントの指導者でもある畑中みゆき氏からそれぞれ挨拶があり、本イベントは開会しました。内藤氏は、特別協力の(株)岩手ホテルアンドリゾート、スワローレンタサービス(株)盛岡に感謝を述べ、参加者には「雄大な安比高原の自然の中で、思いっきりスキーを楽しんでください」と伝えました。本イベントでは、ソルトレーク・トリノオリンピックにてフリースタイルモーグルの選手として出場した経験をもつ畑中氏と、アルベールビルオリンピックにノルディック・クロスカントリーの選手として出場した猪俣由美氏の2名を講師に迎えました。
畑中氏からは「スキーは前に進んでいくスポーツです。この2日間で目標を決めて取り組んでそれを達成できるようにスキーを楽しみましょう」、猪俣氏からは「クロスカントリーは実はとても苦しい競技ですが今日は1日目標を持って楽しく滑りましょう」と話がありました。

1日目:歩くスキー(クロスカントリースキー)

1日目は宿舎からバスで2~3分程のクロスカントリーコースにて「歩くスキー」と称してクロスカントリースキーを体験しました。「このような晴天はめったにない」と地元関係者が話すように、雲一つない晴天となりました。宿舎からバスで会場に到着すると、参加者は歩くスキー用の板とストックを手に、コースへと移動しました。会場は林に囲まれた牧場を利用しており、1周1kmほどの起伏に富んだコースでした。
1日目の講師はノルディック・クロスカントリーの選手としてオリンピックに出場された猪俣氏が務めました。子どもたちは初めてのクロスカントリー用スキー板の装着に悪戦苦闘しているようでした。その後、準備体操をおこない、歩くスキーを実施する際の諸注意や上手く歩くためのポイントが説明されました。参加者は皆、初めての体験を前に講師の話に熱心に耳を傾けていました。
説明が終わると、広い平地を利用して歩く練習がスタートしました。猪俣氏を先頭に円を描くように連なって歩きました。初めは、幅の細いスキー板に参加者は慣れない様子でしたが、徐々にバランスがとれるようになりスムーズに歩く姿が多く見られるようになりました。その後、下り坂の斜面を利用してゆっくりと滑り降りる練習がおこなわれました。転倒してしまう参加者もいましたが、猪又氏の指導により、転ばず滑り降りる事ができるようになっていました。コースの状態は良好で、子どもたちが積極的にコースを歩き進めていました。猪俣氏は、コース内の随所で参加者に声をかけて回りながら、参加者とともに滑っていました。 全員がコースを2周歩き終えた後は、3周目に挑戦する参加者、雪あそびをする参加者など、それぞれ思い思いに残りの時間を楽しんでいました。
最後には、猪俣氏から参加者に向けて「今日、立てた目標を自分なりに達成できた人?」という問いがありました。それに対し、ほぼすべての参加者が元気よく手を挙げていました。参加者は満足げな表情で宿舎へ帰るバスへと乗り込み、充実した1日目を終えました。

2日目:ゲレンデスキー(アルペンスキー)

2日目は宿舎から1分ほどのゲレンデにてアルペンスキーを体験しました。雪がちらつく天気となりましたが、陽は出ていたため、暖かなスキー日和となりました。
宿舎でスキーブーツに履き替え、バスでゲレンデへと移動しました。
2日目の講師はフリースタイルモーグルの選手としてオリンピックに出場された経験をもつ畑中氏が務めました。全体で準備体操をおこなった後は、スキーブーツでの歩き方の指導を受けました。畑中氏からは「今日1日の目標を立ててください。お父さんお母さんも自分が子どもに戻ったようにスキーを楽しんでください。」と話がありました。その後、参加者はスキー板を受け取り、それぞれの経験と技術レベルに応じたグループに分かれて指導を受けました。スキー経験者のグループは午前中からリフトに乗りコースへと向かいました。初心者のグループはスキー板の付け方から学び、足をハの字に固定し、なだらかな斜面をゆっくり安定して滑り降りる練習をおこないました。初心者もインストラクターの方々の指導により、自力で安定して滑れるようになり午後にはすべてのグループがリフトに乗りコースへと挑んでいきました。初めてのスキーに上手く滑れず悔しくて泣いてしまう子どももいたが、インストラクターの熱心な指導により諦めず練習を続けていました。畑中氏は各グループを回りながら参加者に技術的なアドバイスや「転んだ分だけスキーが上手になる」等の励ましの言葉をかけていました。
初めてのスキーに試行錯誤していた参加者も講師の畑中氏やインストラクターの指導により1人で滑れるようになり、終了時刻の直前までスキーに没頭している姿が多く見られました。ゲレンデスキーが終わると参加者たちはまだ滑り足りないような表情で閉校式のおこなわれる安比グランドアネックスへバスに乗って戻っていきました。

閉講式

閉会式では、岩手大学の浅沼氏の進行のもとアスリートのお二人からそれぞれ挨拶がなされました。畑中氏は、参加者が立てたこの2日間の目標を達成できたか各自が振り返る時間を設け、「震災から4年が過ぎ復興が進んでいない事も事実ですが,私たちはスキーのように前に進んでいかなければなりません。今回のスキーの体験を今後につなげていってください。」と述べました。猪俣氏は「いろいろなところへ本物を見に行ってください。これからも様々な事に挑戦しながら親子で夢に向かってがんばってください。」と親子へメッセージを送りました。本イベントに参加した畑中氏と猪又氏は、目標を立てることの大切さ、目標を達成し、前に進んでいくことの大切さを、スキーを通して伝えていました。参加者代表からは「この2日間ありがとうございました。」と2人の講師および安比グランドアネックス関係者や、インストラクターの方々などへ感謝の言葉が述べられました。閉会式後、参加者は畑中氏と猪俣氏に見送られながら陸前高田への帰路につきました。

アスリートコメント

畑中みゆき(2002年 ソルトレークオリンピック、2006年 トリノオリンピック フリースタイルモーグル出場)
2日目のゲレンデスキーで1人諦めそうになった子もいたが、指導者として彼のモチベーションをあげる事ができた。お父さんお母さんも素直に話を聞いてくれてよかった。目標を達成する事の大切さを学んでもらえたと思うので、それをこれからにつなげていって欲しい。特にこどもたちには、このスキー体験をしたことで将来オリンピックに出場したり、社会貢献ができるような大人になってもらえればと思う。

猪又由美(1992年 アルベールビルオリンピック ノルディック・クロスカントリー出場)
イベント参加4年目にして、震災の事を明るく語る事ができるようになった陸前高田の皆さんを見て復興を感じた。親御さんは、子供がいろんな事に挑戦し本当にやりたい事を見つけられる環境を作ってあげてほしい。そして、子どもがやりたい事を見つけたらそれを全力で応援してあげてほしい。感動する事をたくさん経験して、感動から生まれた気持ちを行動につなげていってほしい。

参加者コメント

30代 女性
いっぱい転んだが上達できた。楽しかった。

小学6年 女子
初めてのスキーで不安だったが、自分なりにできたので良かった。

40代 男性
子供が楽しそうにしている姿がなにより嬉しかった。子供の頃にもどってスキーができた。

小学3年 男子
スキーが何度も滑れて楽しかった。だんだん速く滑れるようになって嬉しかった。

小学3年 女子
息子に負けないように私もスキーを練習していきたい。

40代 女性
はじめてリフトに乗ってスキー場のコースが滑れたのが一番嬉しかった。