事業報告

ふくしま大運動会 in いわき

プロジェクト
パワーアップ・ジャパン from Tokyo
イベント名称
ふくしま大運動会 in いわき
開催日
2017年10月22日(日)

平成29年度パワーアップジャパンfrom Tokyo 被災地復興支援の第5弾として、福島県いわき市のいわき陸上競技場、平工業高校で「ふくしま大運動会inいわき」を開催しました。本イベントには、伊藤友広氏(陸上)、中西永輔氏(サッカー)、齋藤信治氏(バレーボール)、坂本竜介氏(卓球)を講師として迎え、高校生までの子供たちを対象に行われました。午前は「チャレンジ・スポーツ」を実施しました。子供たちの全力な姿と一緒に参加したアスリートの方々のダイナミックな動きとともに周りの大きな声援に包まれました。午後は「アスレチック・スポーツ」が行われ、各クリニックにおいて、アスリートならではの視点から、普段とは違った指導や練習が行われました。子供たちは真剣かつ積極的に練習に取り組む姿や楽しそうな笑顔などが見られました。一つ一つアドバイスを聞き自分のものにしようと励んでいました。最後はアスリートからの景品をかけたじゃんけん大会が行われ、大盛況でクリニックは幕を閉じました。

○陸上競技

悪天候のため室内で行われた陸上ではオリンピアンの伊藤友広氏が指導にあたりました。伊藤氏の「トップスプリンターでも小学生でも走るときのポイントは共通しており、そのポイントを押さえられれば誰でも速く走ることが出来る」という言葉とともにクリニックがスタートしました。参加者はそれぞれウォーミングアップを済ませた後、走るときの姿勢を細かく体に叩き込む練習をしました。姿勢の感覚が掴めてきたら腕の振り方、足の動かし方を学びました。そして最後にスタートの仕方やスタート時の姿勢を教わって何本か実際に走りました。技術より感覚に重きを置いていたようでした。終わった後も感覚を忘れまいと繰り返し走っている参加者も見受けられました。

○サッカー

悪天候のため体育館で行われたサッカーのクリニックは、こんにちはという元気な挨拶から始まりました。子供たちは中西氏の自己紹介を、目を輝かせながら聞き、リフティングやパスの練習で体を温め、技術練習に入りました。リフティング、ヘディング、パス、シュートと練習が進んでいく中で、中西氏からの指導を受け、上達していく様子が見られました。中西氏からは「ミスをしても手を使ったり、諦めないことを練習からやっていくことが大切だ」と指導がありました。シュート練習の際、中西氏が手本として強烈なシュートを披露すると、子供たちからは思わず歓声が上がりました。最後にプレゼント企画として、じゃんけんで勝った人にはサイン入りのボールと色紙がプレゼントされ、とても嬉しそうな表情でした。終始笑顔に溢れたサッカーのクリニックは、技術だけでなく、精神面の指導もあり、子供たちからは「時間があっという間に過ぎてしまった」という声が聞かれました。

○バレーボール

齋藤氏と一緒にランニングとストレッチを十分に行った後、運ぶ感覚を意識したパスの練習やスパイク練習などの基礎技術について丁寧な指導がありました。レシーブ練習では、齋藤氏から「声をしっかり出して上げられそうな雰囲気を出すことが大事」とアドバイスがありました。それを受け、子どもたちは齋藤氏の強烈なスパイクに臆することなく、「絶対に上げてやる!」と立ち向かっていました。齋藤氏は、終始子供たちを褒めており、子供たちものびのびと練習し、アドバイスを一言一句聞き逃さないようにと真剣に話を聞いていました。子供たちにとって、多くのことを学ぶことのできる良い機会となりました。

○卓球

卓球のクリニックでは坂本氏が小学生、中学生、高校生を相手に卓球の指導を行いました。初めはフットワークの指導を行い、坂本氏自ら見本を見せ、その後に参加者が練習を行い、参加者一人一人に声をかけていました。また、フォアハンドやバックハンドの指導も行い、細かいショットのコツなどを参加者に伝えていました。クリニックの最後では試合の時の心得も指導し、「試合ではいかに相手を騙すかが大事」とのアドバイスがありました。クリニック参加者は、卓球の技術面や精神面を懸命に学んでいる様子が見られました。

【レクリエーション・スポーツの様子】


アスリートコメント

伊藤友広(陸上)

Q本日の感想を教えてください
Aいわきに来るのが3年ぶりぐらいでしたが、被災地支援を多く行ってきた中でいわきの子は元気な子が多いと思いました。また、それだけではなくて今後練習を重ねていくと伸びていく期待が持てる子が何人もいた印象を持ちました。被災地以外でも陸上教室を行っていますが、いわきの子は走り方や走るときの感覚が他の地域の子と比べて優れていると思います。センスを感じるので今後の活躍に期待したいです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A自分自身が具体的に何かを出来ているとは思っていないですが、アスリートとしての関わり方としてはスポーツイベントに単発で来て終わりということが多いと思う。そうではなくて継続的にやっていくことが大切だと思います。でも、イベントでも思い出作りとかで様々な人が来られても地域の人も疲れるし望んでいないとも思っています。だから、良い距離感で継続性を保ったまま陸上を教えていければ良いと考えています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A被災地への応援というともう必要無いのではないかと思っています。自分が好きだとかこれが楽しいという感情を大事にしながら道を切り拓いていく人になってほしいと思っています。

中西永輔(サッカー)

Q本日の感想を教えてください
Aあいにくの雨により、体育館でのクリニックにはなったが、子供たちが本当に一生懸命で、楽しいひとときでした。話に耳を傾ける姿勢も素晴らしくて、子供たちからはサッカーに対する熱意が伝わってきました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A僕はサッカーを通じてしか復興をお手伝いすることはできないので、これからも活動を続けていきたいと思います。やはり子どもの笑顔が、大人たちの笑顔に繋がると思うので、サッカーを通じて子供たちが笑顔になるように頑張りたいです。サッカーは上手くなればなる程、楽しくなり、それが笑顔に繋がると思うので、その協力ができたらいいなと思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A復興を進めていくというのはなかなかうまくはいかず、大変なことも多い中だとは思いますが、このようなイベントを通して、大人も子供も笑顔になってもらって、これからも頑張ってほしいと願っています。

齋藤信治(バレーボール)

Q本日の感想を教えてください
A人数が9人ということでしたが、少なければ少ないほど丁寧に指導できるので、一人一人にしっかりと接することができたかなと思っています。今日参加してくれた子供たちは、少し引っ込み思案だったように感じましたが、中盤からは非常に積極的に取り組んでくれたので、楽しかったです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
Aパワーアップジャパンには、昨年のいわき、今年の気仙の事業に引き続き、今回参加させていただきました。震災後、時間が経っているので、復興も進んでいるのかなと考えていたんですけど、これまで訪れた被災地を見ると、まだまだ復興は進んでいないなと思いました。しかし、子供たちと触れ合って感じるのは、心の傷はあるかもしれないですけど、少しずつ元気になってきているのかなと感じています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A今日参加してくれた子供たちの中には、まだバレーボールを始めたばかりの子もいたので、バレーボールの楽しさをもっと知ってもらって、ぜひバレーボールをこれからも続けてもらいたいという願いがあります。また、先程も申しましたように、まだまだ復興が完了していないという現状があると思います。震災の記憶を忘れることはないと思いますけど、少しでも心の傷を癒したり、元気になってもらえるような、そんな活動を今後も続けていきたいと思います。

坂本竜介(卓球)

Q本日の感想を教えてください
A今回のようなイベントにはこれまで何度も参加しており、50カ所以上に参加しています。震災から復興したところもありますが、まだまだ復興しきれていないところもあると思います。その中で自分ができることは卓球だと思うので、子供たちに卓球を通して元気を与えていきたいです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
Aこのようなイベントはやめないことが大事だと思います。そしてなにより「思い」が1番重要です。自分自身、中高大と青森で育ったため東北への思いが強いです。そのため何年経ったからもういいではなくこの先ずっとこのような活動を続けていくことが大切だと考えています。被災地ということを抜きにしても子供たちに卓球を教える活動を続けていきたいです。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
Aとにかく自分の好きなスポーツや好きなことをやってほしいです。被災地だからどうと考えるのではなくのびのびと好きなことをやってほしいです。それが一番の復興につながると思っています。常に自分たちが楽しく笑顔でいることを心がけてほしいです。

参加者コメント

小学4年 女子 陸上参加
陸上選手に色んなことを教えてもらったのですごく良い経験になりました。ジャンプでの練習方法など今日教えてもらったことを家でも実践して自分の陸上に活かしていきたいです。

小学6年 男子 陸上参加
オリンピアンの人に色んなことを教えてもらったのですごく勉強になりました。特に、自分の苦手なスタートを教えてもらったので100メートルで自己ベストを出したいです。

中学1年 女子 陸上参加
元オリンピック選手に教えてもらったことで自分になかった考え方を学べました。今回教えてもらった姿勢の作り方や腕の振り方を練習して自分のフォームの改善をしたいです。そして0.01秒でもタイムを縮めていきたいです。

小学6年 男子 サッカー参加
中西さんとサッカーができて本当に楽しかったです。ジャンケン大会で勝って、サイン入りのボールを貰うことができたので、とても嬉しかったです。

中学1年 女子 バスケットボール参加
シュートが入るようになりました。攻守の切り替えの意識なども勉強になりました。

小学2年 男子 サッカー参加
シュート練習が楽しかったです。普段も同じような練習はしていますが、声を出したり、周りを見たりすると良いと知ったので、チームの練習でも意識してやってみようと思いました。

中学3年 男子 サッカー参加
中西さんから細かな指導をしてもらい、うまくなれたように感じます。来年からは高校生になるので、今回教えてもらった周りを見ること、しっかり声を出すことをさらに意識して頑張りたいです。震災後にいわき市には大きなクラブチームもでき、サッカーがより活気づいてきた印象があります。自分ももっとサッカーに対して意欲的に取り組んでいきたいと思います。

中学1年 女子 バレーボール参加
今まで知らなかったことや新しく知識的なことを学べて、すごく良かったです。アンダーは自分からいくのではなく、ボールを待っている相手に送るということを学べました。学んだことをこれからの試合や練習で活用して、1試合でも多く出られるようにしたいです。

中学2年 男子 バレーボール参加
実際にオリンピックに出場した選手が、わざわざ福島に来てくれたので、そんな人に教えてもらえて、とても有意義な体験になりました。一番学べて良かったことは、気持ちの部分で、教えてもらったことを素直に受け止めるというのが大切だと分かりました。齋藤選手に教えてもらったそのままに、自分の頭に入れて、実践していけるように頑張ります。震災後は他人のことを気にするようになり、みんなで協力して生きていけたらなと思っています。

中学2年 男子 バレーボール参加
実際にオリンピック選手が来て、教えてもらったのですごく貴重な体験でした。僕はスパイカーなので、スパイクの打ち方とかサーブの打ち方を教えてもらうことができ、すごく勉強になりました。公式大会でも教えてもらった打ち方を思い出し、実際に打てるようにしたいです。震災があってからは人のために募金を積極的にするようになりました。

小学5年 男子 卓球参加
たくさんの技術が学べてよかったです。今日学んだことを活かして次の試合に勝ちたいです。

中学3年 女子 卓球参加
とても楽しくて身になる講義をしてもらいとても素晴らしい体験でした。これから高校で卓球を続けるので、学んだことを活かして試合で頑張って勝ちたいです。震災で困っていることはないけれど風評被害はとても残念です。

高校2年 男子 卓球参加
プロの技術を見れてとてもいい経験になりました。教えてもらったことを今後活かしてもっと良い結果を残せるように頑張りたいです。震災は悲しいことだけれど、そのおかげでプロの方と一緒にスポーツをする機会があってとても良かったです。