事業報告

2019 武道フェスティバル石巻

プロジェクト
令和元年度 パワーアップ・ジャパン from Tokyo
イベント名称
2019 武道フェスティバル石巻
開催日
2019年10月5日(土)、6日(日)

令和元年度パワーアップジャパン from Tokyo 被災地復興支援事業の第4弾として、宮城県石巻市の石巻市総合体育館において、今年で9回目をむかえる「武道フェスティバル石巻」が2日間にわたり開催されました。
1日目の講演会では玉木正之氏(スポーツ評論家)による「武術としての武道と武士道としての武道」と題した特別講演がありました。
2日目は、総勢140名の子どもたちを対象に田辺陽子氏(柔道)、木和田大起氏(剣道)、野口真史氏(空手道)を講師に迎え、クリニック及び文化プログラムが行われました。各講師からはこれまでの経験に基づいた細かな指導があり、参加者も講師の熱心な指導に応えようと真剣な表情でクリニックに取り組んでいました。また7団体による模範演武では、普段あまり触れる機会のない他の武道を目の当たりにし、参加者はとても刺激を受けていました。

○講演会

特別公演では、スポーツ評論家である玉木正之氏の「『武術としての武道』 と 『武士道としての武道』」というテーマで開催されました。大河ドラマでも取り上げられている近代柔道の祖である嘉納治五郎や「武士道」を論じた日本の思想家である新渡戸稲造に触れ、どのように「武道」が発展していったかという講演がなされました。
また後半では歌舞伎の「勧進帳」の映像を教材に、武士道の教えでもある「人情」や「義理」などにも触れながら玉木氏の研究に基づく解説を伺いました。「花は桜木、人は武士」とあるように、「武士道は全民族の良き理想として捉えられた」との説明があったほか、どのように民衆に伝えられていったか等の歴史についても解説があり、参加者は皆興味深く耳を傾けており、和やかな雰囲気の中講演会は幕を閉じました。

○柔道

今回で4回目の参加になる田辺氏は、対象年齢が幅広かったことから、どの年代にも必要不可欠な基本的な技術指導に重点を置いて、普段の練習に戻った後の練習に役立つようにポイントごとで丁寧に説明されていました。また準備体操の後、発育発達の時期を考えて、ケガの予防や自分の体重での様々な動きによるトレーニングに対応するためにアニマルウォークを取り入れたトレーニングを行いました。終盤には「立技乱取」を行い、参加者たちは今日学んだ技を実戦形式で繰り返し取り組んでいて、充実した表情を浮かべていました。

○剣道

今回で4回目の参加となった講師の木和田氏は、「子供たちの意識を自分に向かせること」を終始心がけているとのことで、参加者の表情や態度に常に気をかけていらっしゃいました。また子どもたち一人ひとりが、課題意識を持って真剣に稽古に取り組む姿が印象的でした。まず初めに準備体操を済ませた後、剣道の基本である素振りの指導がなされました。竹刀の握り方、振り方、そして目線の位置など基本的指導から一人ひとりの姿勢を正したりする細やかな指導まで、実演を交えながらの丁寧な説明がありました。終盤には二人一組での掛かり稽古が重点的に行われ、子どもたちは今回のクリニックを通して学んだ技術を試すなど、挑戦する気持ちも学んでくれた様子でした。

○空手道

2020年の東京五輪から正式種目として採用される空手道は、ルール変更が行われているのでその変化に対応するためにさまざまなバリーエーションの技を習得することが大切であることから、講師の野口氏は少し難しい技も練習を行いました。対象が幼稚園生から中学生と幅広かったので、動きを一つ一つ分解しながら説明されていました。また参加者が他の種目の参加者より少ない分、講師から個別でアドバイスが多くなされていて、アドバイスを受けた子どもたちは真剣な表情で指導を聞いていたのが印象的でした。会場全体に「押忍!」の掛け声が響き渡る中、組手では指導を受けた技を身につけようと子どもたちは積極的に技を仕掛けていて、最後は笑顔で講習会を閉じました。

【文化ブースの様子】


アスリートコメント

田辺陽子(柔道)

Q本日の感想を教えてください
A基本動作や礼法に関してはとても良かったので、普段の練習から丁寧な指導を受けているように感じました。子どもたちからは笑顔が多く見られ、例年よりも元気で活発な様子が見れてとても嬉しかったです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A毎年こういった活動を継続することで、少しずつ変化が見られ、それが力となっていっていると感じました。スポーツを通した活動の効果として、困難を乗り越える力・新しいことに挑戦する気持ちを持つことの大切さを今回の武道フェスティバルで実感できました。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A石巻のこれからの活躍を武道を通して応援します。

木和田大起(剣道)

Q本日の感想を教えてください
A今回で4回目の参加となりますので、以前に指導をした子供が高校生になって参加してくれたり、また、毎年の成長がみられるので私自身もとても楽しむことができました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A私はこれまで機動隊員としても震災直後に復興支援に関わるなど10年近く被災地を見てきました。東北だけでなく、あらゆる地域で起こりうる事に対して自分のできること、またスポーツを通じて今後も支援していきたいと考えています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
Aどのような危機的な状況に陥っても人間というものは強いものです。皆さんが諦めずに希望を持って復興に取り組んできたからここまでの復興を果たすことができたのだと思っています。これからもより良い街にしていくために力を合わせて頑張ってください。

野口真史(空手道)

Q本日の感想を教えてください
A例年に比べると空手道の参加者が少なかったのですが、その分一人ひとりにアプローチができて、それぞれに対して細かくアドバイスができたかなと思います。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A私自身、被災地である石巻市の出身なので、これからもこのようなイベントがありましたら積極的に参加していきたいと思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A武道を通して石巻を盛り上げていき、全国、世界で活躍する選手が一人でも多く出てきてくれればいいなと思います。

参加者コメント

小学5年 男子 柔道参加
道場の人と一緒に参加しました。相手にタイミングを合わせて倒せたり、できるようになったことが増えてよかったです。普段の練習でも今日学んだことがしっかりできるようにしていきたいです。

中学2年 女子 柔道参加
昨年も参加して、ウォーミングアップでの体動かしのところでうまくできなかった部分とかもあったので、今後の部活動の練習にも取り入れていって、練習や試合に役立つようにしていきたいです。

小学6年 男子 柔道参加
道場の人と一緒に参加しました。世界で戦ってきた先生の動きを見て、スピードとか力とかが必要だなと感じた。今後の試合とかで今日教わったことを活かしていきたいです。

中学2年 男子 剣道参加
去年も参加させてもらって、基礎練習の中でも簡単にわかりやすく指導してもらうことができて、隙間時間などを利用してできる練習も教えてもらえたので部活が始まる前の時間などにやってみたいと思います。

中学1年 女子 剣道参加
世界選手権で優勝したことがある先生から指導してもらえてとても貴重な経験ができました。普段の稽古では気付けなかったポイントもたくさんあったので、今後に活かしていきたいと思います。

中学1年 男子 剣道参加
初めての参加だったんですけど、すごい先生方の技術や模範演武なども見ることができて良かったです。先生方に教えていただいたことを活かして大会などで結果を残していきたいと思います。

中学2年 男子 空手道参加
世界で活躍する選手から教わって少しでも自分の参考になればなと思って来ました。一個一個の技の技術が高かったり、技のバリエーションが多かったりとレベルが違って学ぶことがたくさんありました。できることを少しずつ練習で活かしていって本番でもできるようにしたいです。

小学2年 女子 空手道参加
組手のところが面白くて勉強になりました。足掛けがとても上手かったので、これからの練習でもできるようになりたいです。

小学1年 男子 空手道参加
先生の引きが強くてすごかったです。今日習ったことを忘れないで、これからどんどん強くなりたいと思いました。